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ゼオライトとは

ゼオライトについてお話する前に、読売新聞に掲載された、2011年4月7日の記事をご紹介しましょう。

ゼオライト記事

東電福島第一原発のタービン建屋地下などにたまる高濃度の放射性物質を含む水の浄化に仙台市青葉区愛子(あやし)で採れる鉱物「天然ゼオライト」が有望であることを日本原子力学会の有志らがまとめ、7日発表した。

研究チームは、同学会に所属する東北大など5大学と日本原子力研究開発機構の計59人。福島第一原発で、難航する高濃度汚染水の処理の一助になればと、自主的にデータを集めた。

実験の結果、表面に微細な穴の多い「天然ゼオライト」10グラムを、放射性セシウムを溶かした海水100ミリ・リットルに入れて混ぜると、5時間で約9割のセシウムが吸着されることを確認した。
(2011年4月7日21時32分 読売新聞)

セシウムという放射性物質は、天然のウランなどとは比較にならない程の放射線量があり、人体に非常に大きな影響を与えます。
セシウムによる人体への影響は、発がん性や白血球の減少などで、さらに悪い事に、土壌との親和性が高いため、一度放出されてしまうと、その土地は30年以上、高い放射能汚染を受ける事となるのです。

今回の原発事故では、土壌の他に海への汚染物質の流出が問題となっていますが、この放射能汚染を処理するために、ゼオライトが有望であると言われています。

ゼオライトの和名は沸石と言います。これは、ゼオライトを加熱した時、ブクブクと泡を立てることで、まるで沸騰しているように見えることから名づけられました。

ゼオライトは、ケイ素とアルミニウムが酸素を介して結合した構造をした結晶化合物で、分子レベルの孔が無数に空いています。ブクブクと泡立つのは、この孔に吸着された空気やガスが沸騰した際に放出されるからです。

ゼオライトの骨格となっているケイ素(Si)は+4価で-2価の酸素(O)とSiO2という組成でバランスが取れます。しかし、もうひとつのアルミニウム(Al)は+3価なので、アルミニウムが骨格に入ると、陽の電荷が1つ不足することになります。
これを補うため、ゼオライトの骨格中には、ナトリウム(Na)やカリウム(K)、カルシウム(Ca)等の陽イオンが含まれています。これらの陽イオンの数は、アルミニウムの比率が高いほど多くなり、ゼオライトの種類によって異なっています。

ゼオライトの特徴は、内部に空洞や細孔が多数あることです。あなだらけであることで表面積が非常に大きく、ゼオライト1グラム当たりの表面積は、なんと畳一畳分にも相当するとされています。その分たくさんの物質を吸着することができます。
同じ様に吸着力が高いものとして、シリカゲルや活性炭が上げられますが、ゼオライトの場合、高温、低圧といった不利な条件下でも吸着が良いという特徴があります。

そのためゼオライトは、水や土壌から有害物質を除去するのに適しているのです。
そして、ゼオライトには触媒として、様々な化学反応を補助して、さらにその反応を良くする働きもあります。これはゼオライトの広い表面積と吸着効果によるものです。 無数の細孔が反応させたい物質を狭い空間に閉じ込め、表面積の広さが化学反応を助けるのです。

さらに、ゼオライトにはイオン交換の能力もあります。ゼオライトに含まれている陽イオンは、他のイオンに交換することが容易で、高温等の条件下でも利用できますから、イオン交換樹脂では不向きな条件下でも使用することができます。

例えば、海や湖沼のリン化合物汚染が問題となったとき、リン化合物に変わってゼオライトが洗剤に加えられました。洗濯洗剤の成分表に記載されている「アルミノケイ酸塩」というのがゼオライトの事です。
洗濯中の水は、汗などから出るCaのため、硬水に近い状態になっていて、この状態は洗剤の能力を下げてしまいます。しかし、ここにゼオライトを加えると、ゼオライトの持つNaとCaのイオン交換が起こるので、水が軟水に変わり、洗剤の能力が下がることを防ぐのです。

ゼオライトは、このようにさまざまな能力を持っていて、色々なところで利用されているのです。

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